はじめに


近年、日本各地でクマの出没や被害が増えていますが、紀伊半島のツキノワグマは、私の中で今だ神秘的な存在です。


紀伊半島のクマのことを知ろうと思いクマに関する本、ホームページなど色々と調べましたが当地域(照葉樹林帯)とは、環境が異なる地方のクマのことばかりで参考になりませんでした。そこで、独自で調査をはじめ自分の足で集めた紀伊半島のクマのことを少し紹介します。1999年〜


紀伊半島での被害は、植林地での、スギ、ヒノキへのカワ剥ぎ、趣味の養蜂被害が主で 、クマ剥ぎは、凄まじいものです。紀伊半島では、他の地域よりもクマ剥ぎの始まるのが早いです。平均して4月下旬ごろから始まります。

今は、林業が低迷していて植林山を放置している山主が多いですが、日本産のスギ、ヒノキの値が上がって来た時、数十年前の様に大問題になるでしょう。今でも、使い古された捕獲檻が何カ所かに放置されています。私は、山師なので複雑な気持ちです。

趣味の養蜂への被害も深刻な様で、奥山に置いていた蜂箱を最近は、里の近くに置くようになり、蜂箱を狙って民家の裏や海の近くにまでクマが来る時があります。


食性と、ドングリ類の豊、凶

照葉樹の結実も豊凶が有り毎年、豊、並、凶、と区別しクマの秋からの動きを予測しています。ミズナラ、ブナは、他の地域とほぼ似ている様です。春は、樹木の新芽、ササ類のタケノコ、クマ剥ぎ、春の糞には、クマ剥ぎによる繊維物が沢山入っています。夏は、蜂の巣や蟻、養蜂被害もこの時期です。秋は、漿果類、この地域では、カナクギノキ、アオハダ、タカノツメ、堅果類はミズナラ、ブナ、照葉樹のツブラジイ、ニタリジイ、アラカシ等。

当地域でのブナの豊、凶がどの程度クマに影響しているのかわかりません。今後の課題です。


越冬については、紀伊半島のクマは越冬しないと言う意見もありますが、これから明らかにしていきたいです。1月にカメラに映っています。越冬穴候補もいくつかあります。越冬している様子を見てみたいものです。



活動範囲を少しずつでも広げていき、もっと多くの紀伊半島のクマの事、色々と紹介していきたいです。


調査を続けてきて思うのは、クマは何処にでも居て何処にもおらん。


よくこの山あの山にクマ居るかな?と聞かれるが、ほとんどの場合この山あの山にクマ来るかな?が正しい質問の仕方の様に思う。